やり抜く力は少ない選択肢からも生まれる
先日ある知人から聞いた話がきっかけなのですが、今回は選択肢の数と成長について書いてみたいと思います。
その知人の会社では、高卒の学生も積極的に採用しているらしく、僕が「どこも採用難ですからね」と言うと、そういった理由から高卒の学生を採用しているわけでは無い、ということでした。
その理由は「選択肢(不可抗力を含め)が少ない中での彼らのパフォーマンスは、想像以上に高い」ということでした。なるほど、かくいう私も高卒で、自己肯定をしているわけではないですが、振り返れば他の選択肢を考える余裕は確かに無かったです。
そんな話を別の経営者にしたら、「実はうちも高卒の学生を積極的に採用してますよ」と、立て続けにびっくりな話が出てきました。この話が気になって、もっと聞いていくと、当たり前ではありますが、いくつか条件がありました。
- 学業や部活で一定の成績を上げている(結果)
- 取り組んだことを投げ出さずにやりきる(部活やバイトなど)
- 素直である
なるほど、と思いました。世にいう「学歴じゃないよね」というのは、こういった普遍的な力を持っていることなんだなと。十把ひとからげでは無いんだな、と再認識しました。
そして、ふと思い出したことがあります。子供の頃、一つのゲームしか持っていない友人は、信じられないくらいそのゲームが上手でした。その彼にとって、そのゲームはかけがえのないものであり、磨き続ける対象だったんですね。
一方で、たくさんのゲームを持っているけど、一緒にプレイするとものすごく下手な友人もいました。それこそ相手にされなくなるくらいの下手さです。そのゲームが下手な彼にとっては、そのゲームは数多く持っているうちの一つであり、そのゲーム自体に大した意味を持つことはないんですね。
これは、ゲームを一つしか持ってない友人はそのゲームに力を込めやすく、数多くのゲームを持ってる友人は、豊富な選択肢があることによって力が入りきらない、ということなんだなと。
領域を狭め、集中して取り組む
先ほどの話に戻りますが、実際には高卒だからという理由ではなく、領域を狭め、集中して取り組むことによって、累乗の効果が生まれている、ということです。
逆に多くのことに対しまんべんなく取り組むと、その効果は得にくい。選択肢がない(不可抗力を含め)ということが、時には力を込めやすい状況を生むのではないでしょうか。それらは何も変わったことを言っているのではなく、非常に正しく、当たり前の心理と感じました。
この逆の状態を、先ほどの条件に当てはめて考えてみると、
- 中途半端な成績(結果)
- 色々手を出してすぐに投げ出してしまう
- 素直じゃない
すぐに「一緒に仕事をしたいと思える人じゃない」とわかりますね、これも当たり前の話ですが(笑)
ここまでの話は、”グリット(GRIT)”の考えに通じるものでもあります。
リンク先に詳しいですが、簡単に言えば「やり抜く力」です。
「石の上にも3年」とはよく言ったものです。これは今の時代にはちょっと古臭い考えのように聞こえますが、その場に居続けることや、累乗の効果のあるものが何なのかを考え、経験を積み重ねていくこと(ないしはそれに準ずる力を有すること)はとても大事だなと思います。
なので、選択肢が少なければ、まずは単純だとしても、決めたことを徹底する。いわゆる凡事徹底が大事です。多くの選択肢を持っている人ならば、それらの選択肢に共通するものを見極めて、その一点(専門性や特技)を貫く、そういったことが成長に近づくことだと思います。
僕は経営する側として、もっとパーソナルな部分に踏み込んで、一緒に働く人と出会いたいと考えています。冒頭にお話しした2社における、高卒まで採用対象を広げた採用活動は、素晴らしい個人を見つける方法ですね。僕らも今のやり方では全ては見つけられないけど、前述した2社のようにもっと視野を広げて多くの可能性にかけてみたいと思えた、そんな一件でした。
ではまた!